2018年10月7日、バニラビーンズが解散します。
きのこ頭担当のレナと、外はね頭担当のリサ。彼女たちは私のアイドルで、美しいアーティストです。
デビュー*1からは11年、現メンバーでの活動は実に10年8ヶ月というキャリア。レーベルを変えながら、女性のユニットとしてはかなり長く活動したと思います。
私が2人を知ったのは2008年の春。
ガラス張りのトラックの荷台で生活をする(駐車中のみ)というプロモーションをしている女の子たちをテレビで見かけたことがきっかけでした。
とにかくポップで清楚で可愛くて。何者なんだろうと調べた結果、その2ndシングル「ニコラ」で心をグッと掴まれてしまったのです。

- アーティスト: バニラビーンズ,Chang Jung,高見優,阿部靖広
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 2008/05/21
- メディア: CD
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私の2人との出会いは「さよなら」という歌詞で始まり、「二コラ」は忘れようにも忘れられない歌になりました。(MVが徳間ジャパンのチャンネルでアップされたのが2011年だったとはいえ、この名曲が22万回しか再生されていないなんて…)
当時はIKEAやH&Mなどが日本進出し、北欧ブームが始まっていました。その時代にマッチさせた「北欧の風に乗ってやってきた、清楚でイノセンスな雰囲気の女の子」というコンセプトは、大学で北欧の知識を齧っていた私にドンピシャでした。
抜群のスタイルでデザイン性の高い衣装を着こなし、それを「私服」と呼んでいた時期もありました。音楽も渋谷系を彷彿とさせるものだったり、洋楽ロックのカバー、昭和歌謡風など、とにかくセンスのいい楽曲の数々に恵まれて、そして何よりもシンプルな振付で丁寧に歌を聴かせるスタイルは、Perfumeのパフォーマンススタイルが世に浸透し始めた頃だからこそ斬新でした。
2015〜2016年には、avexに移籍してすぐに「次のシングルとアルバムが1.5万枚売れないと解散」というノルマを突きつけられるという、いわゆる解散商法なんてのもありました。個人的には、正直これまでの売上のことなどは怖くて考えたくなかったし絶対に解散なんて嫌だ!とパニックになりましたが、この頃から本人たちは淡々とその事実を受け止めていました。「売ればいいんでしょ」って言ってた気がします。頼もしくてまた惚れました。そこで出たアルバムもまたカッコよかったし、見事にノルマをクリアして活動継続と相成りました。
また、今もそうですがTwitterなどを積極的に使った自己発信や、ファンとの交流も印象的。フォロバが早くてビックリしました。そして時折ファボやリプライもしてくれたり。特に、ハマりたての頃はリサも学生で、大学生活のことも普通の学生のようにたくさん綴られていました。卒論を書いてる時期が近かったので応援し甲斐があったな。
いろんなアイドルの握手会が全国で行われている中、ビンタ会とか完全ガードハグ会とかいろいろやってたのも、独自のポジションであることを象徴するものだったかと。
学生時代のお金が無い頃や、新卒で入社した会社で忙殺されていた頃の私は、彼女たちのライブを観たことがありませんでした。イベントで札幌に来てくれたこともあったけど都合がつかず行けなかったし、その後も遠征する費用や時間は取れず。
それでも「そのうち自分のタイミングが合う時があれば」という気持ちで、在宅での応援を続けていました。
そして今年の4月、とうとう彼女たちに会うことができました。全国のタワレコを回るイベントと、ワンマンライブのために札幌に来てくれたのです。
私は本来、握手とかチェキとか怖くて苦手で、ハローのそういうのもほとんど行ったことがない人間です。でも、この時は彼女たちが札幌に来てくれたことに対するお礼を、どうしても直接言いたかった。
ショッピングモールのステージに、2人が出てきた後からはもう「かわいい…」と何度口にしたかわからない。あの、画面上でしか見たことのないお人形のような2人が目の前にいる。美しい手足が映えるダンスと、笑顔と、親しみやすいトーク。それだけで夢のようでした。
ミニライブが終わり、特典券を手にし列に並んだ時は本当に緊張していました。私って純粋だなと自分で感心してしまうほどです…。そしてスタッフの方が持ってるiPhoneに表示されてるルーレットを回し、運良くサインもチェキもしてもらえることになり…目の前にいる背の高い2人を見上げて、涙がこぼれそうになりました。
なんてかわいいの。なんてきれいなの。
「10年待ってた!」
その言葉を発した後、私は後悔しました。私から会いに行ったこともないのに、何を勝手なことを言っているんだ、と思って。
でも2人は気さくに話してくれて、チェキにも10年越しの出会いだったことを書き残してくれました。
この2日後のライブの後も握手をしたんですが、会ったことを覚えていてくれたのが嬉しすぎて、これからもずっと2人を応援していくんだとホワホワしていたんです。
バニビちゃんに「(札幌単独公演を)10年待ってた泣」って伝えることができた時、2人が見せてくれた笑顔が眩しくて、もうこの思いは墓場まで持ってくのだと心に決めた(重い)
— 鴨井 (@kamoi51) 2018年6月10日
8月1日、仕事終わりにTwitterを開いたら、レナがこんなこと呟いてました。
皆さまへ
— レナ(バニラビーンズ)🐈 (@VB_Rena) 2018年8月1日
バニラビーンズは解散します。 pic.twitter.com/36Lw0LeXot
本人からの宣言に、地下鉄の中でよろめきました。
うそだ
うそだ
うそだ
その間にも、本人たちからのツイートやコメント、ニュースやインタビュー記事がどんどん発表されている。
行かなきゃ
信じたくないという一方で、私の指はやけに冷静に、ラストワンマンがいつどこであるのかを調べていました。頭の中では、解散回避ノルマを課せられたあのCDに収録されていた歌が流れてる。
会いたいなら 会いたいなら
次のチャンスもあるなんて
甘い言葉聞かせないでビーニアス/バニラビーンズ
前から彼女たちは言ってたじゃないか。行こうと思えば、努力すれば行けたじゃないか。2人がこちらに来なくとも、あんなにたくさんのライブやイベントに出てたじゃないか。
これまで経験した「好きなバンドの解散」よりもずっとずっと辛い。罪悪感を孕んだような、こんな気持ちになるのは初めてでした。
9月18日、ラストシングルが発売されました。タワレコのポスター特典のために予約をしていたので朝から店頭に向かいましたが、こんなに複雑な思いでCDを受け取ったのは初めてです。
レナとリサの歴史が始まった「ニコラ」を思い起こさせるジャケ写と、帯には「北欧に帰ります。ノースリーブだと寒いかな。」のコピー。
表題曲「going my way」は爽やかでオシャレなトラックにキュートな歌声、ちっとも終わりの寂しさを感じさせない詞。いい意味でいつも通りのバニビでした。
カップリングの「ラストソング」は、いかにも卒業や解散…という歌詞ではありますが、これが間違いなく終わりであるということを、2人が優しく教えてくれるような、甘美で残酷な歌です。
ちなみに、この最後の作品にはMVがありません。「え?いや、無いなんてことある?」と思ってしまいました。きちんと解散の予告をしてくれたことや、素敵な曲をリリースしてくれたことは感謝してるけど、彼女たちが1番美しい今を音楽のための映像として残さなかったことについてだけは、関係者各位を一生恨み続けると思います。
あと数週でバニビの「アデュー」が永遠になることが未だに信じられないままラストシングル聴いてるよ。
— 鴨井 (@kamoi51) 2018年9月19日
私と同世代の女の子たちが、10年ほどの月日をかけてやってきたことを思うといろんな感情がかき乱されるのですが、最終的には語彙力がないので「尊い」としか言えなくなるのが本当におたくすぎて嫌になるね。
今日更新されたシノバニ、2人につられて泣いちゃったよ…
ラストワンマンライブの会場に、明日私は向かいます。
現場に通い、熱心に彼女たちを応援してきた皆さんと比べると、ニワカみたいなもんかもしれない。それでも間違いなく私の青春の一部だったバニラビーンズが、北欧に帰ってしまう前にありがとうを伝えたいです。