【ネタバレ有り】舞台「奇子」メモ
一回だけの観劇から書きためたメモなのでぐちゃぐちゃしてるのと、口調がとっ散らかってます。また、内容について触れてるのでご注意を🙇♂️
・原作
「原作がある場合、作品の受け取り手に選択肢が与えられる」ということを今回知った。原作を読んでから舞台を観るも良し、読まずに舞台だけを楽しむも良し、舞台後に原作を読むも良し。
私はもともと小説も漫画もそれほど読まない人間なのでどうしようか迷ったんですが、結局すべて読んでから観劇しました。
個人的には読んでおいてよかったです。けっこうなテンポで展開していくので、あらかじめ内容を把握してなかったらついていけなかった部分もあったかも。とはいえ、私の周りではわりと未読でも理解できたという方が多かったので、もちろん人それぞれですね。
・進行
原作終盤のシーンを舞台では頭に持ってきて、そこから窖と回想を行ったり来たりする構成でした。
回想となると、登場人物たちのモノローグが入ってくる。私はいわゆる「説明ゼリフ」が苦手で(えび座でも時々あるけど)、急に作品の外に出されてしまう感覚があるんですが、今回の場合は不思議なことに、それがかえって漫画的ですんなり頭に入ってきました。四角い枠に書いてあるやつみたいな。キャストに無い人物についてとか、時代の動きとか、かなりの部分を仁朗のモノローグが担っていたが無理ない範囲だったと思う。
モノローグとダイアローグは割とハッキリ分かれてましたが、窖と回想の境目はハッキリ寄りの曖昧(?)って感じでした。窖シーンに戻るたびみんなが徐々に弱っていって、そこでの時間経過を感じた。
・アレコレの描写
原作自体が「センセーショナル」とかいう言葉で、エロや少女監禁等に焦点を当てた紹介をされがちな作品だったので、多方面から舞台化を心配されてたようです。
実際、舞台でもセックスの描写はありました。ただ、それらは基本コンテンポラリーダンスで表現されていて、他のキャストのセリフと重なることで臨場感も持たせていたと思います。
監禁については、セットが土蔵の下に見えるようにキャストが立ち回り、照明が照らされるので、わりと想像しやすかったです。特に、奇子が動き回る様子は本当に狭い範囲だったのでわかりやすい。
正直、描写自体にウッとなったりすることはなかったです。ただ、それらの行為よりももっと気持ち悪いものが、ストーリーの進行とともに透けて見えてくるのがつらい。
観劇前に見たゲネの写真でセットに釘付けになったんだけど、その時は工藤哲巳(ルーツが青森の現代美術家)の作品を思い出した。
— 鴨井 (@kamoi51) 2019年7月24日
でも、実際に前方列から見上げてみるとゴツゴツの岩がそびえ立っていて、想像してた生々しさとは違って見えて、「ああ、これから自分も生き埋めにされるんだ」って感じた。
奇子を間に置いた、天外家の人間と下田の対比が衣装や顔つきに表われてた。でも話が進行するにつれて、それぞれの欲や保身やいろいろが混ざり合っていくのも目に見えてオエエ…ってなる。
— 鴨井 (@kamoi51) 2019年7月26日
漫画を読み返す気力が出たので、また少し考えてた。やっぱり仁朗のお涼殺しは一生頭にこびりついて離れないかもしれない。二人の動作ひとつひとつが、ある意味原作よりも残酷に思えるほどに象徴的で、なのに美しさも感じて…なかやしきさんの言う「共犯関係」に自分もなったような気がしたシーン。
— 鴨井 (@kamoi51) 2019年7月25日
もうみんなも言ってるだろうけど、奇子が肢体をしなやかに動かすたびに手塚漫画のような曲線を描くのがたまらなく甘美で…そして駒井蓮さんの、初めての舞台作品だからこそ出せたのかもしれない奇子の存在感。
— 鴨井 (@kamoi51) 2019年7月26日
・アッチョンブリケ
これについては賛否両論でしたね。手塚先生の作品とはいえ、奇子とは別の漫画のキャラクターのセリフを挟むことに意味は???となるのは無理もなかったと思います。
場面としては、山崎医師が奇子に襲いかかろうとして、伺朗に阻止されたところ。おそらく驚きを表す言葉として使われてました。
私の入った回では、実はそんなに違和感はなかった…というか会場がそこそこウケてたからかな。
その状況的に、笑いを入れるところではないのでは???という意見はもっともだと思う。が、私としてはどこまでも軽薄で下衆で本件を微塵も悪く思っていない山崎医師らしいシーン、と解釈してます。
ウーンでも難しいな。稽古してるとその場の勢いで演出が決まっていくこともあるだろうし。
・五関さん
結局「綺麗な顔だ…」(2列目での観劇)みたいなことを考えてたのは本当に最初だけで、まじで萌えもクソもない状態で見入ってました。というか、そういう気持ちになれないくらいの圧迫感がすごかった…
余裕がなさすぎて…劇中に何があったかも理解してるんだけど、そこに何か言葉を添えることができない…
— 鴨井 (@kamoi51) 2019年7月24日
とにかく初主演作品がこの舞台だったこと、本当に良かったと思う。演出家に「ごせきくんありきの」と言ってもらってるのは鴨も嬉しいです。
・故郷
この作品の舞台は青森県の架空の市、ムラ。出身県だからこそ謎の角度から感情移入してしまって大変に疲れた。
故郷って愛しくて怖い場所だ。鴨はたまに「青森は大好きだけど永住はできない」と言うんだけど、それは青森だからじゃなく故郷だからだ。
— 鴨井 (@kamoi51) 2019年7月24日
だから、彼らと一緒に閉じ込められて信じられないくらい息が苦しくなった。自分も家族との時間の中で、ヒロイズムに酔ったことはなかっただろうか。今も。
※追記するかも。